<エキスパートサークルを開催しました#1健康と場づくり>
2回連続シリーズで企画させて頂きましたIAKS日本支部のエキスパートサークルは2020年10月22日に「#1健康と場づくり」をテーマに登壇者に守谷修さん(スポーツ庁)、保清人さん(ロスフィー)をお招きしました。
守谷さんからはスポーツ・健康まちづくりについてスポーツ庁の取り組みをご紹介いただきました。
2019年に閣議決定された第二期まち・人・仕事創生総合戦略にスポーツ・健康まちづくりが組み入れされたことから、スポーツ庁でもスポーツ・健康の実現のための空間づくりについて様々な取り組みが行われており、その一つとしてスポーツスペースボーダレスプロジェクトをご紹介いただきました。
主に3点の柱があり、現状や課題を以下にまとめました。
1.ストック適正化:
既存施設のフル活用・適切なストックマネジメントを行う
2.学校施設の有効活用:
・8-9割の運動場は一般解放されている一方、プールはあまり解放されていない
・課題として団体に貸すことが多い、学校と先生への負担が多いことから受益者負担の適正化、持続可能な仕組みづくり、民間事業者が参画しやすい環境づくりが必要
3.民間スポーツ施設の一般開放
・民間所有の施設を一般開放することにより、市民にとってはスポーツの場に、開放する企業にとっては稼働率を上げることにより収入が見込める
特にコロナ渦により、自己免疫力の向上、ストレスの解消、体重コントロールなど一層スポーツの価値が高まっており、”どこでも運動場”という考え方でオープンスペースを活用していく重要性やその事例をご紹介いただきました。
スポーツ庁ではスポーツ活動継続サポート事業として新型コロナウイルス感染対策を行いつつスポーツ活動の再開や継続に取り組む方々へ補助金を交付しています。下記をご参照いただき、ぜひご活用いただきたいとのことでした。
https://www.japan-sports.or.jp/.../doc/corona/flyer.pdf
保さんからはランドスケープアーキテクトとして健康の場づくりをされてきた事例からハード面からのアプローチからスポーツを導き出す方向性とスポーツ(プログラム面)から場づくりをする方向性の両方をご紹介いただきました。
例を挙げると
ハード面からのアプローチでは
・職場に心地よい屋外空間を作ることにより社員の運動機会を提供、結果的に会社の業績もアップした
・普段は日差しが照りつける空地でも日陰を作ることにより心地よいスポーツの場になった
・リハビリを目的として”バリアフリー”ではなく適度な階段等も受けた”バリア有り”な空間設計
プログラム面からのアプローチでは
・プレイスメイキング(居心地の良い場づくり)にはヨガなどスポーツ的イベントが欠かせなくなってている
・スポーツ分野でのテクノロジー、特に行動追跡の技術は街での人間の動向観察に有効である
などを共有いただきました。
「現在では地球全体で温暖化が進んでいること、特に都心部では気温の上昇がスポーツの機会を奪っていることから、よりランドスケープデザインが健康増進に対してに担う役割が増えている。やはり東京もマラソンが開催できるようなランドスケープを目指すべき」というお話に改めて”場づくり”がスポーツとは切り離せないテーマであるということを再確認しました。
ご講演いただきました守谷さん、保さん、ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。