<エキスパートサークルを開催しました#2ウォーカブルシティー>
2回連続シリーズで企画させて頂きましたIAKS日本支部のエキスパートサークルは2020年10月26日に「#2 ウォーカブルシティー」をテーマに登壇者に塚本 文さん(国土交通省)、福林 孝之さん(つくばウェルネスリサーチ)、槻橋 修先生(神戸大学)をお迎えいたしました。
塚本さんからはウォーカブルシティーという概念が出てきた背景として人口減少社会において経済成長を持続するために生産性を高める必要性があり、同時に都市のコンパクト化を進めていく中でコンパクトシティーやウォーカブル、健康の関係性が見えてきて、居心地の良く歩きたくなるまちなかづくりが重要視されるようになってきたという流れをご紹介いただきました。
また、ウォーカブルシティーとグリーンインフラ、ウォーカブルシティーと新型コロナ危機など居心地の良い屋外空間づくりは多様な社会問題の解決策になりうるという事例を共有くださいました。
福林さんからは特に地方にフォーカスを当てた健幸づくり(smart wellness city)について、その実践から以下の4点を中心にお話くださいました。
1.無関心のまま健康にできるまちづくり
まちの健康づくり、人の健康づくりを合わせて考えることにより、気がつかないうちに健康になれるまちづくりの実践例として新潟県見附市では
・ハード面:複合施設や道の駅、銭湯など外出の目的となり、市民の溜まり場となるところを設置する
・ソフト面:種から作るガーデニングクラブや健康サポートクラブなど活動をサポートする
・交通面:コミュニティーバスを20分に一本間隔で動かすことで利用者とその歩行数を増やす
などにより結果として全国平均より約20万円医療費が抑制されたとのことでした。
2.データヘルス革新
・AIを利用して”健康づくり”に関する複合的な理由の解明が進められている
3.無関心層を動かすインセンティブシステム
・ポイント事業等で多少のインセンティブを示すことで無関心層の74パーセントが参加にこぎつけた。
・インセンティブは地域の商店街で使えるクーポンにすることにより街の経済活動にも効果が期待されている。
4. 無関心層にも健康情報が届くインフルエンサーの養成
・口コミの力を利用して運動プログラムへの参加を促す
槻橋先生からはウォーカブルシティーのプロジェクト取り組みの紹介をいただきました。
1.南町田グランベリーパーク
・連続したランドスケープデザインとアクティブデザインを取り入れて身体活動を誘発している
2.神戸市三宮センター街
・屋台プロジェクトで仮説ベンチの設置をすることにより滞留空間を創出
・ゴミの放置やスケートボードよるベンチの破損など課題も出てくるが、それらに対してみんなで話し合い対応していくこと自体がまちづくりとして捉えられる
・夜バルというイベントではバルで一杯飲んだ人が次のお店に足を運びやすくなるように近隣のお店の営業時間を延ばすなどの対応が見られ、都市の回遊性が見られた。
3. Walkable UMEDA構想
・車道を減少させて歩行者空間を増やす
・道路は移動という目的から滞留空間、リアルな出会いを作る場所へ
ウォーカブルシティーと一言で言っても大都市から地方まで様々なまちがあり、今回のセミナーでは国の政策から口コミの力まで幅広い話題を共有いただきました。
ご講演いただきました塚本さん、福林さん、槻橋先生、ご参加くださった皆様、誠にありがとうございました。